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【Genocide Numbers】

Act.18

<ターゲット確認:GN004P>

オレンジのバイザーの向こうに、敵の姿を捉えた。
三日月状の鎌を振り上げ飛び掛ってくるのは
嘗ての寮機、現在の敵機。

<指令:【最優先】対象の戦闘不能及びコアの回収>
<指令:上記指令が困難な場合のみ、対象の完全破壊を許可>

フラカッソは槍を構え、大鎌の軌道に真っ向から叩き込んだ。
その行動には僅かの躊躇も無かった。




「……相変わらず、エキドナの奴隷なんだねフラカッソ」
「イレギュラーは破壊する。
 エキドナ様はお前のコアをお望みだ」
10メートルの距離を置いて、二人は対峙する。
そしてフラカッソの背後には、ヴィソトニキが控えている。
「か、カラミティー、生きてたのね……!」
控えめに、でも嬉しそうに言った。
カラミティーはヴィソトニキに向かって、ビッと親指を立てた。
「……うん、丈夫さには定評があるよ」
「No.5、何を話している。
 敵の撃破に注力せよ」
フラカッソは槍を持った右手を上げ、その穂先をカラミティーに揺ぎ無く向ける。
地を蹴り、今度は自分から仕掛ける。
「……全く、何にも成長してないね……!」
大鎌を突進方向に対し斜めに構え、槍をいなす。
先ほど、真っ向から武器同士をかち合わせた時、カラミティーの大鎌は僅かに歪んでいた。
フラカッソの槍の方が、強度が勝っていた証拠である。
カラミティーの武器はすぐに再生できるものの、その為には若干の隙が生まれることになる。
故に真っ向からぶつかり合うのは得策ではないと彼女は判断し、攻撃をいなしたのだ。
「あれより戦闘経験はつんでいないからな……
 だがお前には負けん、No.4」
槍が反らされてもその勢いのまま、彼は左手の盾をカラミティーに突き込んだ。
しかし盾の先端も宙を切る。
「おおっ……と」
カラミティーは上半身を90度後ろに倒し回避していた。
無限大の柔軟性を持つ彼女ならではの避け方。
「くっ……!」
「……隙ありっ!」
回避されて体勢を崩したフラカッソの足元を、大鎌が薙ぐ。
「無駄だ!」
フラカッソは大槍を地面に突き立ててガード。
槍を引き抜く勢いで大振りし、カラミティーに殴りかかる。
カラミティーは咄嗟に鎌の柄でそれを受け止めた。
なんとか止めたものの、柄が歪むほどの力だった。
「……うっ、パワーだけは凄いね……」
カラミティーの足が、地面を僅かにすべる。
鍔迫り合いを繰り広げながら、フラカッソは相手を睨みつけて言う。
「No.4、貴様の弱点は把握している。
 ……その『蒼血』の強度には限界があることが一つ」
粘土のようなものである。
粘土でどれだけ鋭い剣を作ろうと、強度は粘土のそれと同じ。
それ故に、カラミティーは鈍器ではなく鋭利な武器を用いているのである。
「そしてもう一つは――」
更に強く一押しし、カラミティーを退けた。
バックステップで距離を稼ぎつつ、背中に装備したアラーレキャノンに手を伸ばす。
腰の両側から銃口を覗かせ、同時に射撃。
「!」
「遠距離攻撃に弱い、という事だ」
回避不能状態にあったカラミティーは、射撃モーションを見ると同時に
体内のコアを射線から外しつつ防御していた。
しかし数マッハで飛翔する鉛弾は、彼女の体表面の『蒼血』を僅かだが削り取った。
「『蒼血』を失えば、動けまい!」
アラーレキャノンを連射し、『蒼血』を次々に削ぎとる。
「……くっ……」
カラミティーは肉薄し接近戦を挑もうとするが、その度に槍で押し返される。
形勢はあっという間に逆転していた。
ボディから削ぎ取られた『蒼血』を、大鎌を造っている分で補填したため
大鎌のサイズが段々小さくなっていくのが、傍から見ても分かった。
「動きが遅くなったな、GN004P」
「フラカッソ、もうやめて……!」
ヴィソトニキはフラカッソの腕に手を回して、攻撃をやめさせようとする。
勝敗は明らかだ。
彼女はこれ以上、カラミティーを傷つけて欲しくなかった。
「……No.5、何故攻撃しない?」
「だって、カラミティーは私達の仲間じゃない……!」
「…………」
涙ながらに訴えるヴィソトニキ。
フラカッソは、彼女に黙って槍の切っ先を向けた。
「No.5……お前はどちらの味方だ?」
「…………!」
ヴィソトニキは、言葉を失った。



この人は――彼は私にだけは刃を向けることはない。
心のどこかで、そんな自惚れがあったんだろう。
ショックだった。
泣きそうになった。
この一週間……私を愛してくれたのが『嘘』だったのは分かっていた筈なのに。
これが本当の貴方なの?
それが貴方の本心なの?

「…………どうなんだ?」
「わ……私は……………」

でも――ねぇ、ヴィソトニキ。

自分願ったじゃない。
嘘でもいい、演技でもいいから愛してくれ、って。

自分で決めたことじゃない。
行く先がどこであっても、この人について行くって。

自分で判ってるじゃない。
自分は、彼が好きで――
どうしようもなく、彼が好きで――



「私は――私は……No.3、貴方の、貴方だけの味方です」
ヴィソトニキは、宣言した。
エキドナでも機械種族でもない、他でもないフラカッソの味方なのだと。
「……ならばNo.5を攻撃しろ」
槍を下ろし淡々と命令を下す。
そして自身もアラーレキャノンによる狙撃を再開する。
ヴィソトニキは、銀色に鈍く光る二挺拳銃を構えた。
「御免、カラミティー……!」
震える手を押さえつけて、狙いも定めずに彼女は引金を引く。
何度も、何度も。
その度に、

狂っている。
カラミティーは、フラカッソを見て本気で思った。
機械らし過ぎる行動は、こうも狂って見えるものか、と。
「……ヴィソトニキ、どうして、そこまでして……」
「御免、御免ね……!」
ヴィソトニキの銃弾は、全て明後日の方向に反れる。
だからアラーレキャノンの砲撃だけを避け続けながら、カラミティーは考えた。
「(……悪いのは、フラカッソだけだね。
  本気でどうにかしないと)」
フラカッソを説得するのは、最早不可能だ。
そしてフラカッソをどうにかしない限り、ヴィソトニキに戦闘を止めさせる事は出来ない。
カラミティーは、ヴィソトニキの『心』が酷く傷ついているのを感じた。
銃弾を一発撃つたびに、見るだけで胸が痛くなるような悲痛な表情をしていた。
状況を打開し彼女を救うためには、フラカッソを力でねじ伏せる以外にない。
「っ……!」
爪先にフラカッソの銃撃を受け、また少し『蒼血』が飛散した。
このままでは、いずれ『蒼血』を全て削り取られて負けるだろう。
まだ大鎌の刃部分を失う程度で済んでいるが――既に鎌形態では使い物にならない。
動けなくなる程『蒼血』を失う前に、別の形状にチェンジしなければ勝機はない。
「(だけど……どうする?)」
武器に使えるのは、鎌の柄の部分を構成する『蒼血』だけ。
大きな剣や斧は作れない。
出来れば脚部の出力を上げて、ボディーの防御力も上げたい。
いまや、全ての能力が不足している。
「(……これが私の限界?)」
絶望と諦めが過ぎった。
それが一瞬だけ、彼女の動きを鈍らせた。
「終わりだNo.3!」
「……!」
翼を輝かせ、フラカッソが一足飛びに突進してくる。
大槍でのコア狙い。
その一撃で、勝負を決めるつもりだろう。
回避が間に合わない。
防御は耐え切れない。
ブレインが弾き出す解答――敗北。
「(……これは、終わったな)」
カラミティーは、完全に諦め覚悟を決めた。



「負けないで、カラミティー」
「!?」
少女の声。
どこかで聞いたことがある声。
はっとしてカラミティーが見渡すと、彼女は見知らぬ場所に立っていた。
空は黒く、地面は見えない。
四方八方上下左右、どこを見渡しても夜空のように星が瞬いている。
まさしくそこは、星の海だった。
「……あ、貴方は……」
すぐ横に、見知った少女が立っているのに気づいた。
「久しぶり。
 私はいつでも、貴方を見てたけど」
「バウゥ……」
スカウトスーツ姿に、胸元に幼いバウを抱いたDEM。
ダウンタウンで看取った少女だった。
その身体は傷一つなく、子犬も暴れたくてたまらないらしく彼女の腕でもがいている。
「……私、死んだの?」
「アナタはまだ生きてますよ」
振り向くと、そこには五体満足のトップアーツ。
無表情なはずのフェイスパーツが、微笑んでいるように見える。
最期に見せた、穏やかな笑顔のままだった。
「へっ、そう簡単に逝かれて溜まるかよ!」
「……レッドハンド!」
今度は声でわかった。
どこからか現れた、赤毛のDEMがカラミティーを鋭い目つきで見ながらも笑っていた。
「よう、一日ぶり!」
「……ここは何処?なんでみんながいるの?」
カラミティーは三人を見渡した。
「ここは貴方の『心』の中ですよ」
少女が答えた。
「私は――私達は、ずっとここにいるんです」
「そう、アナタと一緒に」
トップアーツが引き継ぐ。
レッドハンドも、うんうんと頷いている。
「忘れてもらっちゃ困るぜぇ」
へへっ、と笑って、レッドハンドは鼻の下を擦った。
「アンタが弱音吐いてるから、見てらんなくなって出ちまったのよ!」
「出た、というか我々がカラミティーの精神を引き込んだんだけどね」
「細けぇこたぁいいんだよ!」
ツッコミを入れたトップアーツの背中を、レッドハンドがバンバン叩く。
「……そういう訳だ、カラミティー」
二人を横目で見つつ、少女が言った。
「私は貴方に『心』を預けた……
 そう簡単に、くたばって貰っちゃ困るぞ?」
「そうだぜ!
 俺を倒したんだから、勝ち続けて貰わねぇと俺のメンツが立たねぇじゃねぇか!」
レッドハンドが偉そうに腕を組んで言う。
トップアーツも前に出て、カラミティーの目を見つめた。
「ワタシもです……カラミティーには色々助けてもらいました。
 アナタが苦しんでるなら、今度はワタシが手を貸す番です!」
「……みんな……」
三人に出会えたことは奇跡としか思えず、とても嬉しい事ではあった。
しかし自分には、万の一つも勝ち目はない――
カラミティーがそう言おうとすると、少女がそれを遮った。
「積もる話はあるが――あんまり時間がない。
 いいか、二人とも」
「ええ!」
「ああ!」
三人が目を合わせて、頷いた。
カラミティーの目の前で、三人が光の珠に姿を変える。
「負けるな、カラミティー……!」
少女の光は、カラミティーの身体に。
「ワタシ達の『心』の力を!」
トップアーツの光は、カラミティーの脚に。
「お前にくれてやるぜぇぇ!」
レッドハンドの光は、カラミティーの腕に。
「!!!」
光が宿った場所が、熱く光り輝く。
カラミティーの意識は、現実世界へと引き戻され――


<未登録形態:Calamity With Heartsが追加されています>
<選択:Calamity With Hearts>
<『蒼血』超高速変化シークエンススタート>
<終了:経過時間0.12s>


「…………No.4、それは何だ…………」
「……」
カラミティーの頭のコアを貫く筈だった大槍は
彼女の手に現れた赤い槍に阻まれていた。
ルビーの如く赤く鋭利な穂先は、大鎌とは異なり、全く欠けも歪みもしていない。
いつの間にか、髪の色は空のような蒼から煌くようなプラチナに
身体はウェットスーツ形態からアメジストカラーの鎧に
脚部は上質なトパーズのような黄色で縁取られたロングブーツへと変化していた。
至近距離で睨みつけ、フラカッソは声を荒らげて再度問う。
「その武装は何だ、と聞いている!」
「……貴方のような『心』無い人には一生わからないものだよ!」
カラミティーは思いっきり、相手の身体を蹴り飛ばす。
「!?」
カラミティーも驚いたことに、フラカッソの身体は大きく跳ね飛ばされていた。
脚に力が漲っている。
いや、脚だけではない。
手も身体も……全身に力が溢れていた。
「フラカッソ!大丈――」
「そ、それは一体……!」
助け起こしに来たヴィソトニキの手を払いのけ、フラカッソはカラミティーを睨みつけた。
「……『心』の力だよ」
「DEMが『心』だと……笑わせるな!」
「なら……試してみればいいよ!」
再び地を蹴り、両者は宙で激突。
だが結果は、さっきまでとは180度違ったものになった。
「馬鹿な……!」
「…………」
フラカッソが愕然と呟く。
カラミティーはフラカッソの渾身の突きを真正面からいなし
赤い槍の切っ先をフラカッソの左肩に突き刺していた。
肌色の被覆を破り、槍は肩のアクチュエーターを破壊。
「くっ……まだだ……!」
動かない左手を庇うように下がり距離をとったフラカッソは、
右手だけでアラーレキャノンの掃射を開始した。
「……往生際が悪いよ!」
弧を描くように走り、その照準から逃れる。
数発、反れた弾丸がカラミティーの胴を掠ったが、今度は『蒼血』が飛散することは無かった。
「何故だ……何故攻撃が効かん!
 その力は一体何処から――!」
苛立ってフラカッソが喚く。
カラミティーはどんどん距離を詰め、一刀一足の間合いに踏み込む。
「くっ、このっ!」
目の前のカラミティーに、フラカッソが必死に大槍を繰り出した。
だがその体がいきなり消える。
「……!?」
「……後ろだよ」
「!」
カラミティーはしゃがむと同時に、『蒼血』を一旦液状化させた。
そしてフラカッソの股下を潜り、背後でまた変身したのだ。
完全に不意を突かれ、フラカッソは反応出来ない。
カラミティーは槍を振り上げる。
狙うは、ブレインのすぐ傍。
強い衝撃を与えれば、フラカッソと言えど一発で昏倒するポイント。
「ごめん、寝てて――!」
カラミティーは全力で腕を振り下ろし――



パァン……ッ



槍がフラカッソに届くことは、無かった。
「……あ……れ…………?」
「……!?」
カラミティーの視界が、思考が急に曖昧になる。
『蒼血』の制御も覚束ない。
「(なん……で…………?)」
<エラー発生>
<エラー発生>
<強制シャットダウンします>
「――――」
カラミティーの意識は、何もわからないまま、闇に沈んでいった。

「あ…………!」
何処からか銃声が聞こえた瞬間。
自分の目の前で、カラミティーの額が弾けた。
何者かの銃弾により、僅かな『蒼血』が飛び散っただけに見えた。
しかし弾が貫通したところには、カラミティーの心臓――コアがあった。
コアが機能停止すれば『蒼血』はただの液体。
ヴィソトニキの目の前で。
仲間が一人、液体と穴の開いた小さなボールになって地面に落ちていた。
「カラミティ――――――――――!!!!!!」






カラミティーが凶弾に散る、一時間ほど前。
ギルド評議会のDEM姉弟二人に動きがあった。
「出ろ囚人!」
「……はい」
カーネイジは看守に乱暴に連れ出される。
彼もまた、ドゥーム同様に心身ともに酷い目に合い、疲れきっていた。
両腕を掴まれ、運ばれるように移動するカーネイジ。
片方の看守が、淡々と告げた。
「お前には、死刑が宣告された」
「……!」
「機械に死というのもおかしな話だが、とにかく、お前は処分されるんだ」
「い、嫌だ!離して!」
カーネイジは暴れるが、所詮ノーマルフォームのDEM。
大の男二人を振りほどくなんて無理だった。
マシナフォームへの変形機構は封じられている。
「なんで、どうして僕が――!」

「ほら、ついたぞ」
看守に放り込まれた広い部屋には、先客がいた。
「カーネイジ……」
床に座りこんでいたのは、彼の姉。
「姉さん!」
慌てて駆け寄ると、その身体に抱き付いた。
「ごめん、カーネイジ……
 こんなところに来たのは、ボクの判断ミスだヨ……」
ドゥームも手を回して、そっとカーネイジの肩を抱く。
整備不良のためか、その動きにはぎこちない所があった。
「……姉さんが悪いんじゃないよ。
 いつだって、姉さんは僕のことを考えてくれたじゃない……!」
「――茶番は済んだか、DEMども」
錆付いた音を立てて扉から現れたのは、黒いドレスのあの男。
ドラゴンスレイヤーを左手に、淡々と告げた。
「俺が、お前達の死刑を執行させてもらう」
「サージャ……!」
キッと睨みつけ、ドゥームかカーネイジを抱くように庇う。
しかし睨んでいながらも、どこかに願うような、媚びるような色があった。
「どうしても……どうしても、ボクの言うこと、聞いてくれないんだネ……」
「聞いたさ……だが俺にゃ関係ない話だ。
 DEM達のお家騒動なんかに巻き込まれたくないね」
弓を水平に構え、矢筒から一本矢を取り出した。
ふと部屋の中にまだ看守がいることに気づいて、サージャは声をかけた。
「あんたら……外に出ないのか?」
「申し訳ありません、サージャ殿……。
 執行を見届けろ、と評議会長より命令を受けています」
「……まだあのババアは俺を疑ってんのかよ。
 まあ、いいがな」
そう言って、矢を番え引き絞る。
「このサージャの渾身の一撃、見られること感謝しろよ」
「ね、姉さん……!」
カーネイジが、ドゥームをより一層強く抱いた。
ドゥームはサージャから視線を逸らさない。
「……絶望したよサージャ。
 ボクが見てきたヒトやDEMの中で……最低だヨ」
それを聞いても、サージャは涼しい顔で肩を竦めるだけ。
「……DEM如きに何を言われても堪えないな。
 それより、お祈りは済ませたか?」
矢の先端に、真っ黒い光が灯り始めた。
「普通、ヒトはこういう時、故郷を思い出すもんだ」
「故郷……」
カーネイジは、第七工廠を思い浮かべようとした、
が、彼は生まれてすぐエミル界に来たので、よく覚えていなかった。
「姉さん……僕らの故郷って、どんなところだった?」
「……危険なところだヨ、凄く。
 でも…………」
ドゥームは思い出す。

アニキが使っていた模擬戦闘用ロボットを。
フラカッソとヴィソトニキがいつもやっていた戦闘シュミレーターを。
カラミティー愛用の充電用カプセルを。
一日中座ってたこともある、端末の前の椅子を。
カーネイジがいたとしたら、何をしていただろう?
アニキと喧嘩でもしてたんだろうか。
それともフラカッソが手合わせでもしてたか――

「フフ……兄弟ミンナで暮らせたら
 そこそこ楽しかったかも知れないネ……」
だがそれも、叶わぬ夢。
兄弟はバラバラになり、今ここで二人の命運は尽きる――

「さらばだ、DEMの姉弟よ――」




「……お疲れ様でした、サージャ殿」
看守が敬礼する。
やや興奮した様子が見受けられた。
「お見事な処刑でした!
 疑ってしまい、申し訳ありません――」
「いいって事よ、こんなの朝飯前よ」
サージャは看守の肩を叩く。
「さ、さっさと出ようぜ。
 DEMっつっても二人も殺して夢見が悪いから、酒でも飲もうや」
「え、ですが自分は仕事中――」
「いいからいいから――」
その背後の壁――さっきまでDEM二人が居た場所は
闇の力で大きく侵され、爆心地であるかのような真っ黒な跡を残すのみだった。
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管理人 こくてん
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