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【Genocide Numbers】

Act.20




「カラミティ――――――――――!!!!!!」



ズクン。
「…………!?」
振り返ったフラカッソの目の前で、カラミティーが液化し崩れ落ちた時。
彼の中で、微弱だが消去できないノイズが発生した。
「(……今のは一体……?)」
ブーストされた倫理回路は、全力を持ってそれを修正しようとする。
しかし、それは果たされない。
ブレインに生まれた、理論の小さな綻び。
それはそのまま、彼の『感情』として揺れ、彼に『動揺』を与えた。
「……うっ……」
地面に落ちたカラミティーのコアを見ていると、そのノイズは増幅される。
消えて欲しいと願う程に、それは強くなる。
「(おかしい――『敵』が倒れた筈なのに)」

何故、こんなにも胸が痛む――――?



「No.3……囲まれてる!」
「……!」
ヴィソトニキの声で、フラカッソは我に返る。
今までドミニオン達を狙っていた筈のDEM軍が、その刃、その銃口を彼らに向けていた。
「どういう事だ……!?
 エキドナ様、お応え下さい!エキドナ様!」
フラカッソはエキドナに通信を試み、何度も叫ぶ。
しかし返事が返ってくるどころか、通信自体が繋がらなかった。
「エキドナ様……!?」
今のフラカッソは、エキドナの命令とDEMとしての基本命令に基づいて行動している。
そのエキドナの指示が仰げず、味方であるDEMから狙われている状況では
自分が取るべき行動を、彼は見出すことが出来なかった。
「く、来るよ!
 戦おう、No.3!」
「…………」
ヴィソトニキが隣で銃を構える。
彼女は、あくまでも抗戦するつもりだった。
しかしフラカッソは虚脱した様子で、つっ立ったままである。
「ど、どうしたの……?」
「……戦う理由が見つからない」
「え……」
フラカッソは本気で困惑していた。
味方機からタギングされたという事は、その理由が必ずある。
イレギュラー判定をされたか、別の理由で廃棄対象になったか。
彼の倫理回路は、それを受けてこう判断を下そうとする。
一箇のDEMとして、それを大人しく受け入れるべきなのではないか、と。
「……俺はDEM社会から逸脱したのか?
 ならば、破壊されるべき……なのか……?」
「……」
無表情で、しかし弱気な発言を繰り返すフラカッソ。
それを見たヴィソトニキは、考えるよりも早く、行動していた。

「馬鹿っ!」
「っ!」

乾いた音。
左頬に走った痛みに、フラカッソのブレインが揺れた。
「…………」
痛烈なビンタが、彼に彼女の声を届けさせる。
「……何、言ってるのよ!」
彼の頬を叩いた右手を下ろさず、ぐっと睨み付けるヴィソトニキ。
その目は怒っているようでもあり、泣きそうでもあった。
「な、何をする――」
「そんなの……全然貴方らしくない!」
混乱するフラカッソを遮り、ヴィソトニキは怒ったように言う。
「……俺らしい、とは、何だ……?」
本当に判らないフラカッソは、反撃も反論も出来ず、問い返すしかなかった。
「私の知るNo.3は――ううん、フラカッソって男の人は――――!」
ヴィソトニキは一歩詰め寄り、頭一個分高い彼の眼を、下から睨み付ける。
「いつでも自分が正しいって信じてて、凄く頑固でそれを絶対に曲げなくて――」
フラカッソが気圧される様に下がったが、それでも彼女は喰らい付くように言う。
「常に誰かと、衝突せずにはいられない人だった!」
アニキ、ドゥーム、カラミティー――――彼女は仲間との争いを思い出す。
「だけど私は、そんな貴方が好きでここまで付いてきたのに……」
兄弟姉妹で戦う辛さも噛み殺して、彼女は彼に付き従った。
「どうして……そんなに弱気になるのよ……!」
それが、こんな結果なのか。
自軍に狙われただけで、あっさりと破壊を受け入れてしまうのか。
ヴィソトニキは、フラカッソのそんな最後は絶対に嫌だった。
彼の胸に飛び込み、彼女は訴えた。
「あの勇ましい『フラカッソ』は、何処に行っちゃったの……!?」
「…………『フラカッソ』……俺の名――?」

再び、彼のブレインにノイズが走る。
ヴィソトニキの必死な訴えが、届いたかのように。
その固有名詞を中心に、異常な処理が繰り返される。
「(俺らしさ……)」
DEMらしからぬ思考を阻止しようと、倫理回路が牙をむいた。
だがノイズの量は加速度的に増え、それを圧倒する。
そして、遂に倫理回路の一端がオーバーヒートし、焼き切れた。

バァン!

「!」
ヴィソトニキの傍らで、大口径のライフルの発射音。
最初、彼女は自分が撃たれたのかと思ったが、体のどこにも傷は無い。
「……!」
横を見ると、フラカッソの右手がアラーレキャノンを握って
「……応えてくれ」
抱き付いた彼女の左脇腹から、背後の敵を狙い撃ちしていた。
「え……」
彼女の背後で、何かが倒れて爆散する轟音。
「俺は正しいんだな?」
彼女を見下ろす彼の眼には――いつもの自信が蘇っていた。
「そうよ……貴方は正しい!」
『心』から、彼女は叫んだ。
「……私が保証する!」

フラカッソのブレインは、いくらかクリアになっていた。
それが倫理回路の物理的損傷の結果とは露知らず、彼の中に再び『心』が蘇り始める。
アクロポリス潜入前ぐらいには、彼の自我は回復した。
「……俺が正しい。
 俺が常にルール……なるほど、じゃあ単純だ」
何も、迷う事は無い。
俺に逆らう者は全て――
「彼奴らが全員、イレギュラーって事だ」
居並ぶ機械種族達を睨み、彼は断言した。
既に迷いも躊躇いも失せた。
「やるぞNo.5!」
「ええ!」
フラカッソは右手でヴィソトニキの肩に触れると、そのままくるりと180度回った。
見つめあっていた二人は、踊るように回って背中合わせになる。
そして二人は敵の包囲網を、真っ向から睨み付けた。
「ジェノサイドナンバーズが貴様らを裁く!
 背中は任せたぞ!」
「イ、イエッサー!」



ヴィソトニキは興奮していた。
敵の数は多い。
文字通り、視界を埋め尽くす量だ。
それでも彼女は、嘗てないほどの昂りの中にあった。
「(――フラカッソが帰ってきた)」
戦士としての彼が、蘇った。
勇ましく槍を振るい、敵と認めた者を容赦なく叩き伏せるフラカッソが。
機械的な判断ではなく、己の意思のみで突き進む不退転のフラカッソが。
時として仲間との衝突すら生んでしまうその性格すら、彼女は好きだった。
その不撓不屈の背中には、彼女を惹き付けて止まない魅力がある。
「(しかも、背中を任されちゃった……!)」
彼の口から、出たのだ。
『背中は任せたぞ』と。
たまたま、その場に彼女しかいなかったからに過ぎないとしても
その一言が、どうしようもなく嬉しい。
「行くわよ!」
愛用の二挺拳銃を構え、片っ端から撃つ。
撃つ、撃つ、撃つ。
眼にも止まらぬ速さで連射し、しかも狙いは的確。
敵のDEMのコアを的確に狙い、一撃で戦闘不能に陥れ
トロットやハウンドの脚部の動力パイプを撃ち抜き、歩行機能を麻痺させる。
ギガントの銃口を狙い暴発させ、周囲の敵ごと吹き飛ばすなんて芸当すらやってのけた。
カラミティーには思いきって攻撃できず、実力を発揮出来なかったが
今や彼女は遠慮することなく、性能をフル発揮していた。

彼女の得物は、二挺の拳銃のみ。
そして部隊内での役割は『支援』だった。
前線で戦うアニキやフラカッソに比べると楽そうだが、実はそんな事は無い。
高速で武器を振り回し飛びまわる彼らの間を、縫う様に射撃するのが彼女の役目。
並外れた精密動作と動体視力が求められる激務である。
彼女はその両立を目指し製造され、完成した機体だった。
故に、フラカッソやカーネイジに比べると見劣りする武装量だが
十分に敵と渡り合えるだけの性能を備えていた。
その上、今彼女は想い人に頼りにされて超興奮状態なのである。
この結果も当然と言えた。



背後から絶え間なく聞こえる銃声の嵐に、フラカッソは不思議な安堵を覚えていた。
「(流石No.5、優秀な機体だ)」
動かせる右手だけで敵を捌きつつ、密かに称賛を贈る。
だがまだ、彼の『心』にはしこりがあった。
フラカッソ。
彼女は、彼をそう呼んだ。
その時に、やはり激しくノイズが生じた。
開発名で呼ばれただけで、一体何が自分の中で起きたと言うのか。
そして――それは初めてでない気がしていた。
「(前……そう、今日の出撃前まで、俺は何をして――)」
しかし彼の思考は、前脚を振り上げて襲ってきたDEM-ヴィエルヴェインに遮られる。
「邪魔だ!」
その脚を振り払い、四角いボディーに槍を突き立てる。
自分の数倍の重量がある白い巨体を、フラカッソは持ち上げて敵陣へと放り投げた。
六本の脚と一個の車輪をジタバタさせて、ヴィエルヴェインはDEMの群れに落下、そして大爆発した。
だが敵の猛攻は止まらない。
次の敵が、すぐに飛びかかって来る――

今、考えている暇は無い。
戦いに集中し、生き延びることを最優先としよう。
そして、戦いが終わったら――彼女に聞けばいい。



どれだけ戦っただろうか。
周囲には鉄屑の堤防が築かれ、そこを敵が乗り越えて襲ってくる。
だがヴィソトニキは、敵の数が若干減ってきたと感じていた。
ドミニオン達の前線が近付いてきたのだろうか。
「(突破できるかも知れない……!)」
希望を胸に、ヴィソトニキは更に攻撃を加速する。
彼と背中合わせに戦っている間に、彼女は別に一つの事を考えていた。
この戦いの後、どうするか、と。

エキドナからの反応は無い。
味方である筈の機械種族からは狙われる。
最早、DEM側に留まる理由がないではないか。
加えて先程、彼女の叫びは彼の気持ちを、動かす事が出来た。
比類なき頑固者の彼であっても、彼女の言う事に耳を傾けてくれる――
そして、彼女の中に夢想とも言える提案が出来上がった。。

 この戦いが終わったら、二人で逃げ出して
 どこかで静かに、二人っきりで暮らそう――と。

銃も槍も捨てて、平和の中で二人きりの時間を重ねる。
一日中、彼の腕に抱かれて無為に過ごしたり、たまには一緒に映画を見たり。
そんなヒトの恋人達のような日常を、彼と過ごす。
恥ずかしながら、もっと爛れた関係でもいいとすら彼女は思った。
最も、彼女も彼もDEMだが。
いや、DEM故に彼女は、ヒトのような生活に憧れる――――

「……生き延びることが出来たら、の話だけど……ね」
ヴィソトニキは、甘美な妄想をそこで中断した。
集中せざるを得ない敵が、正面から近付いていた。
「……何か言ったかNo.5」
「何でもない!気にしないで!」
鋭く言い返し、ヴィソトニキは現れた敵を睨んだ。

イミテイトシリーズと呼ばれる、実在のヒトをモデルにして組み立てられたDEMがいる。
姿を真似るのは敵の眼を欺く為でもあるが、同時に敵の戦闘法を模倣する為でもあった。
彼らは、先程から何体か二人の前には現れていた。
ヴィソトニキが倒したDEMILという機種は、モデル元が弱かった為か攻撃力は皆無だったが
異常にしぶとく、何度もヘッドショットを繰り返して
最終的には顔面にクロスクレストを叩き込み、漸く沈めたほどだった。
そして今、ヴィソトニキの目の前に現れた敵は、イミテイトシリーズ最強と歌われるDEM。
ウェストフォート防衛部のエースブレイドマスター――エイダを模倣して作られた機種。
頑丈な鎧を装備し、黄色いツインテールとイヤリングを揺らしながら現れたイミテイトF1型は、
三叉の剣ケルベロスファングを中段に構え、ヴィソトニキに狙いを定めた。

「っ!」
剣の間合いまで近付かれると不利。
そう悟ったヴィソトニキは、連射で先制攻撃を仕掛けた。
狙うは顔と胴体。
だがイミテイトF1型はケルベロスファングを巧みに構え、銃弾を斜めに弾く。
その体勢で、ジグザクに走りながらヴィソトニキとの距離を詰めてきた。
流石は歴戦の兵のコピーとも言える機体だった。
ヴィソトニキは銃口を下げその足元を掃射し、足止めを試みる。
しかしイミテイトF1型は、防御力にものを言わせダメージ覚悟で吶喊した。
そして瞬く間に、ヴィソトニキの体を射程範囲に捉えた。
「(マズい……っ!)」
ヴィソトニキは横へと飛び退ろうとしたが、寸での所で思い止まる。
彼女の背後には、今フラカッソがいる。
彼は彼の敵と戦っている。
しかし彼は手負いだ、そこまで余裕があるとは思えない。
「…………」
彼女がイミテイトF1型の攻撃を避ければ、その行先は彼の背中。
それだけは出来ない。
彼は『背中は任せた』と言ったのだ。
他でもない彼女に。
その信頼を裏切ることなど、彼女には出来なかった。
「……っ!」
振り下ろされた剣撃を、片手の銃で受ける。
その一撃は重く、片腕に衝撃が走った。
だが怯むことなく、空いている銃で散弾を放つ。
無数の弾丸がイミテイトF1型のセンチュリオンアーマーを穿つ、が貫通には至らない。
イミテイトF1型は絶え間なく剣撃を放ち、ヴィソトニキは動体視力を駆使し銃で防ぐ。
しかし、それは銃本来の使い方では決してない。
叩き斬る為に特化し作られた剣と言う武器を、いつまで防ぎ続けられるものではなかった。

上段から振り下ろされる何度目か判らない斬撃を、ヴィソトニキは右手の拳銃で受ける。
しかしケルベロスファングが銃身に当たった時、右手にある筈の抵抗感が、ふっと消失した。
「え――――」
代わりに、右肩から腹部にかけて奔る熱。
視線の中で、半ばで綺麗に折れた銃身と、自分から噴き出たオイルが舞い飛んでいた。
「――――!」
斬られた。
そう理解した時には、彼女の体は既に言う事を聞かなくなりつつあった。
だが――
「彼を、殺らせる訳にはいかないのよ――!」
ヴィソトニキは右手から銃を離す。
その手で、腹部まで食い込んだ三叉の刀身を、ぐっと握り締めた。
刃が指に食い込み切断されそうになるが、掌も使いしっかりとホールドする。
「!」
イミテイトF1型は慌てて引き抜こうとするが、ヴィソトニキは渾身の力で剣を腹部に留める。
暴れられる事で、より傷が酷くなる事などお構いなしに。
気が遠くなるような苦痛の中、彼女は力を振り絞って左手を動かす。
「殺らせは……しない……っ!」
左の拳銃の銃口を、目の前のイミテイトF1型の額に密着させ
「この人……だけはっ!」
引き金を
「絶対に……!」
引いた。






「ドゥーム!
 一体どうなってやがる!」
メインベースに帰り付くなり、アニキは怒鳴り散らした。
ドゥームは応えず、コンソールを操作する事に集中している。
「チッ……カーネイジ、ここで寝てな」
「うん……ありがと、アニキ……」
アニキは片足のカーネイジを、適当な作業台に横たえる。
カーネイジは弱弱しく微笑むと、エネルギーをセーブする為にスリープモードになった。
「おい、聞こえてんのか!」
「……よし、この部屋は安全になったヨ」
アニキの怒号を軽くスルーし、ドゥームが振り返って言った。
彼女もマシナフォームにチェンジしており、ビットが忙しなく頭上を旋回している。
「情報を撹乱したから、すぐには見つからないと思うヨ」
「……何が起こってるか説明しやがれ」
「コレ、適当に読んでてヨ。
 ボクはカーネイジの治療に専念するから」
ドゥームはコンソールを離れると、アニキに席を譲る。
そのままカーネイジに近付き、傷の応急処置を行い始めた。
アニキは渋々、コンソール上に開かれたファイルを読み込む。
「……なんだこりゃ」
表示された文章には、アニキ達ジェノサイドナンバーズの名前が並んでいる。
マサカーの名の横には、ドゥームが付けたらしきタグが表示されていた。
「ボクらの『秘匿情報』だヨ。
 エキドナが死んで、読めるようになったんだヨ」
「……このマサカーの所、見りゃいいんだな?」
マサカーの名前をクリックすると、幾つか警告文が表示された後、文章の中身が展開された。
「GN001P:MASSACRE……っと」
画面をスクロールさせて、中身を流し読みしてゆく。
その大半が既に寮機として知らされている事柄だったが
最後の一段落だけはアニキも見た事が無い内容だった。

GN001P EmergencyCode

「非常用コード……システム:ジェノサイド……?」
「それが原因だヨ」
振り返らずにドゥームが言う。
先程と打って異なり、アニキは真剣な面持ちでその部分を朗読した。
「何々……

  『ジェノサイドナンバーズ全機が全滅の危機に瀕した際に自動起動。
   リーダー機を中心とし、全機を融合させる事で戦力の集中ならびにメモリの保護を行う。
   GN002Pの『アニキラシオンエンジン』を原動力、GN004Pの『蒼血』を体躯形成の補助、
   GN006Pの高機能ブレインをシステム管理機構とし、完全なる個体『DEM-GENOCIDE』を創成。
   各個の戦闘経験を統合した当機体の戦力は
   機械種族史上最高のものとなると期待され、GN計画の現時点での最終目標である。
   なお、システム起動中は寮機の効率的な回収の為に
   完全体になるまで近辺の機械類を無差別に吸収し続け、
   吸収した機械のエネルギー、パーツを体躯を形成に転用する。
   ただし危険性が高く、システムの改善ないし破棄を議論する余地は多分にある――』……

……ンなんだこりゃ!?」
融合、完全なる個体、無差別に回収……アニキには訳のわからない事だらけ。
ただ一つ、あの化け物が無限に機械を吸収し続けるトンでもない代物だ、
という事は彼女にも理解出来た。
「それが暴走して、あの有様だヨ。
 マサカーは……いや、DEM-ジェノサイドはボクやアニキを探している。
 だけど、カラミティーはここには居ないみたいだから、彼が完成する事は――」
ドゥームを遮って、アニキが壁を思い切り叩いた。
「良くわかんねぇけど……私らはどうすりゃいいんだよ――」
「ボクに聞かれても判らないヨ!」
カーネイジを修理する手を止めて、ドゥームが怒鳴り返した。
彼女が冷静さを失うなんて、そうそうあることではない。
しかし彼女も、予想外の事が多過ぎてテンパっているのだ。
「未知のシステムがマサカーやアニキに組み込まれるなんて思わなかった!
 カラミティーもヴィソトニキもフラカッソも、何処に行ったのか判らない!
 もう何もかも、ボクの計画から全部逸脱してるヨ!」
「…………」
アニキは気圧されて、言葉を失った。
ドゥームは悔しそうな表情で唇を噛んでいたが、後ろを向いて再び修理を始めた。
「兎に角、カーネイジの修理が終わったら、逃げよう」
「…………ああ」
DEM-ジェノサイドを何とかしなくていいのだろうか。
アニキはそう思ったが、口にはしなかった。
何とか出来るなら、ドゥームならとっくに行動に移しているだろう……そう思ったからである。
無力感を噛みしめつつ、アニキは気を紛らわせるように今の文章を適当に開いた。
「…………」
その目が一点で止まる。

GN002P EmergencyCode

アニキラシオンエンジン:オーバードライブシークエンス。
左胸のブラックボックスと、全身が高熱になるあの現象。
彼女も知らない彼女の秘密。
惹き付けられるように、アニキはスクロールバーを下げた。



『GN002Pのノーマルエンジンの稼働率が極端に低下した際に自動起動。
 アニキラシオンエンジン――【対消滅機関】の稼働率を10%未満から70%以上に上げ
 体機能維持と熱量による攻撃を同時に行う。

 アニキラシオンエンジンは試作品で100%の安定性は保証できず
 かつまた対消滅反応によるエネルギーは膨大な為、取り扱いには十分な注意を要する。
 搭載された陽電子が一度に対消滅反応を起こした場合
 アクロポリス及びデムロポリス全域が消滅する可能性がある事を追記しておく』

アニキは左胸にある“ソレ”を上から撫でる。
その顔には、獰猛な笑みと、壮絶な覚悟が現れていた。
「ここにあるじゃねぇか。
 あの化けモンをフッ飛ばす、取っておきの方法がよ…………!」
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