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したらばSSスレの倉庫 兼 ネタブログ
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SAGA12を終わらせて、ふと思った事。
レジスタンスリーダーの独白っぽく。
50行程度の短文で、ちょい暗め(













「じゃあな兄貴!
 ちょっくらタイタニア界に行ってくるわ!」
「ありがとねリーダーさん!」

二人組が、慌ただしく部屋を飛び出してゆく。
一人はウェストフォートの英雄オリアスの息子にして、俺の弟分ベリアル。
一人は同じくドミニオンの謎の少女、ルルイエ。
「ああ、気をつけてな……」
奴らの背中に密かに渋い顔を向ける俺は
ウェストフォートを守備する部隊、レジスタンスの一応のリーダーである。
ここは俺の部屋。
レジスタンスの入隊受け付けや、被害の報告等が届けられる所謂事務室だ。
今朝方、いきなり飛び込んできた弟分とその仲間たちは
何でもそのお仲間の妹の心を復活させる為に、色々とアイテムが必要なのだと俺に縋って来た。
ベリアルとは奴が幼いころから親しくしていたし、
その仲間たちにも戦火の大地では非常に世話になった手前断り辛く、
俺は水龍のヒレと動物のフンをレジスタンスの備蓄からこっそりと分け与えた。
それで喜び勇んで、奴らはタイタニア界へと帰って行った。
仲間の心を取り戻すために。
「…………はぁ、全く」
仲間を救おうと頑張るのは、褒められるべき行為。
それは誰もが認める事だろう。
だが俺は、連中には見せなかった苦虫を噛み潰したような表情を
今や隠してはいなかった。
「何やってんだよ、祖国が大変な時によ」

俺の部屋の壁には、いくつものデータが示された数表が貼ってある。
戦果や被害を表すものが殆どだ。
そしてその中で、とりわけ大きく――連中は気付かなかったようだが――書かれている
二つの数字があった。
一つは、昨日の死亡者数。
そしてもう一つは、総死亡者数。
勿論、DEMとの戦闘による、だ。
前者の数字は滅多に0になることは無く、それは毎日何処かで誰かがDEMに殺されている事を示す。
後者の数字は常に増え続け、俺達の心を律し戦いへと向かわせている。
戦火の大地作戦の後も、DEMとの戦いは終わっていない。
それどころか先の見えない戦いに、事実を知る者達は心身ともに限界を感じていた。
最後の希望。
戦いの最後にドミニオンドラゴンが示した、タイタニア界にあるという秘密。
それを調べる事が出来るのは、ウェストフォートを守る義務のある俺たちじゃなく
自由に冒険の出来るベリアル達だけ――言わば彼らこそ俺達の希望だった。
だが、今日俺の部屋に飛び込んできた二人から話を聞いて、絶望した。
たった一人の、心を失った仲間を救う為だけに奔走していた。
ドミニオン種……と、DEMマザーとその配下のDEM達の未来が
自分達の双肩にかかっている事実を忘れて。
俺に彼らを責めることは出来ない。
自由な冒険者である彼らに、何かを命令することなど出来ないのだから。

だが、それでも――

やるせなさと、行き場のない怒りが、俺の中で渦巻いていた。
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