サージャ:どうするんだ、あの「二人」。

メリー:どうするもこうするも……
魔術師と
聖職者と
自称邪神は
アレの状態をどう見る……?

クホホテップ:人に力が効いたのは初めてにゃから……全然判らないにゃ。
ウォルス:……常識では考えられないけど、完全に二人になってしまった、という事なのかな……。
どちらかに何かが欠けてるかどうかは、起きてから本人に聞かないと……。

フォリア:かなり衰弱はしてるけど、身体面に異常はありませんね。
腎臓が一個になってるとか、片方に心臓がなかったりとか……そういうのも見られません。
メリー:そうか、有難う、みんな……。

サージャ:……少しは気を抜いていいんじゃないか、メリーさん。
レッドさんを救いだした事には変わりないんだし。
メリー:あ、ああ……

ちょっと……様子を見てくるよ。
4人:……。
…………

レッド?:……うぅ……

……む……ここは何処だ……?
俺は…………何をしてたんだ……?

剣……?

……!
思い出してきた……俺は、グリランドリーの中で、彼女を庇って――

痛かったけど――死んだ……訳じゃ……なさそうだな……。
だけど、何だ……記憶が、滅茶苦茶に……。
何か、何かが……欠けて――――

うぅ……ん…………
!?
(こいつは………………俺……!?)

(……俄かに信じがたいが……俺は二人に別れてしまったようだな。
そう考えれば、この記憶の欠落も虚無感も説明がつく。
そして解決法も)

また一つになればいいだけの事……。
俺に還ってもらうぞ、俺――
…………

これは――欠けてた記憶か……なるほど。
…………む?

俺に還るのを拒む“心”……なんだ、これは?
……まあいい、記憶は全て還してもらった。
残りはどうせ大したモノじゃあるまい……さて

レッド?:消えてもら――――!?
メリー:え…………!?
レッド?:くっ!

メリー:ま、待って!
レッド?:死にたくなかったら……俺を追うんじゃない、女!

メリー:……一体……何が起きてるの……?
…………
片方のレッドとグリランドリーは消え
私の傍には、一人のレッドが残った。
記憶を失った、抜け殻のようなレッドが。
だが、それで良かった――

禁忌を犯し、追われ、そして沢山人を殺した事も

魔剣に乗っ取られ、私を殺した事も

破壊の力を受け入れ、自らが二つに分かれてしまった事も
全部忘れて、レッドには新しい生を生き、そして幸せになれれば
私はそれで、満足――。
だから――

レッド:俺は……?
メリー:貴方はレッド。事故でずっと意識不明だったんだ。
レッド:そう……なのか……。
アンタが助けてくれたのか……?アンタは一体誰だ……?
――だから、最も残酷な嘘を吐いて――

初めまして、私はメリー!
通りすがりの……鍛冶屋さんよっ♪
全てを、やり直すことにした――
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