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【Genocide Numbers】

Act.1

黒い太陽が険しい山の稜線に沈みかけている。
夕暮れの中、ドミニオン界の枯れ果てた大地を走る5つの影。
鎧や兜で身を固めたその一団は、何かから逃げるように山道を駆け下りていた。
「はぁ、はぁ……こ、こちら第四北方偵察部隊!
 お……応答せよ!」
先頭を走るドミニオンエッジメットの男が、握り締めた通信機に叫ぶ。
息も絶え絶えに成りながらも、必死に情報を送ろうと試みる。
だが通信機は、無慈悲なノイズを返すばかり。
「応答せよ作戦本部!!敵の新型が複数――」
「ぐああっ!」
先頭の男の後ろから、別の男の叫びが上がった。
走りながら振り返ると、両足を撃ち抜かれ倒れ伏した姿が有った。
「大丈夫か!」
「隊長、逃げろ!!」
隊長と呼ばれた男は踵を返し、倒れた男に肩を貸そうと駆け寄ろうとした。
だが、隊長の手が届くより早く、重い叫びと軽い銃声がそれを遮る。
「ぐぁぉぉっ!」
「!!」
倒れた男に降り注ぐ鉛玉。
一歩引いた隊長の目の前で、血飛沫が飛散する。
「…………!」
攻撃手の姿は見えなかったが、攻撃は確実に急所を捉え、男を死に至らしめていた。
隊長と残りの隊員3人は唖然として、直前まで生きていた仲間を見下ろす。
その停止した一瞬が、命取りになるにも関わらず。
「……はっ!皆逃げ……!」
隊長は部下よりも一早く我を取り戻す。
だが一瞬の代償は高くついた。
「!!!」
隊長の目の前で、1人の隊員の胸から1メートル程もある円錐状の物体が突き出ていた。
元は灰褐色であろうその大槍は、隊員の血が纏わりつき、弱い陽光を反射していた。
大槍が小枝のように振られると、死体は吹き飛び地面に叩きつけられる。
「ターゲット――撃破」
その槍の持ち主は、緑を基調としたDEM。
大槍とは逆の手には小型の盾、そして背部には二丁のランチャーと半月型の透明な翼。
胴体部は迷彩塗装が施されており、一目で戦闘特化型と判る機体である。
それはウェストフォート軍のデータベースには無い、新型。
「た、隊長、歯が立ちません……!」
「に、逃げるんだ――」
「遅いッ!」
隊長の声を遮る、女性の声。
え、と思わず振り返りかけた1人の隊員の体を、一閃の光が通過する。
隊員は上半身だけで振り返り、下半身は正面を向いたまま。
「が……?」
「!!!」
一瞬遅れて、上半身と泣き別れた下半身から血が噴き上がる。
隊員は自分が死んだ事すら気付かないまま絶命していた。
「三人目……」
落下した上半身の向こうに佇む、青い機体。
隊員を切り裂いた大鎌を振りかぶった姿勢で、感情の無い瞳で隊長を見ている。
「また新型だと……!?」
ボディも大鎌も、この惨劇には似合わない鮮やかなブルー。
髪は空色のポニーテールで、胸も際どく露出した女性的なDEMである。
それ故に、手にした鎌から滴る暗褐色の液体はおぞましく映えた。
「う、わ………うわぁぁぁ!」
「ま、待て!」
残った1人の隊員が、恐慌状態に陥り逃げだした。
二体のDEMとは異なる方向――全力で坂道を駆け下りる隊員。
だが不幸な事に、彼の行動は自ら死へ飛び込む結果となる。
「戻れーッ!」
「え―――?」
錯乱していた彼の目は、猛スピードで彼に肉薄する赤い影に気付けなかった。
隊長の渾身の叫びが彼の耳に届いたのは、彼が砕け散るのと同時。
彼とすれ違った何者かが突き出した拳は、濡れた鈍い音と共に彼を兜ごと粉砕していた。
「四人目……殲滅」
隊長の前に現れた三体目のDEMは、拳に付いた血を振り払いつつ呟いた。
格闘型なのか、武器らしい武器は持っていない。
拳だけが唯一の武器という事なのだろうが、その威力は今見た通りである。
髪は明るい黄色のツインテールと可愛らしい外見ではあったが
仲間の末路を見た後の隊長にはその姿は悪鬼か羅刹にしか見えなかった。
「……こんなに新型が……!
 本部!頼む応答してくれ!」
絶体絶命の窮地に追い込まれて、隊長は死に物狂いで通信機に叫ぶ。
せめて情報を仲間に残さなければ、死んでも死にきれない。
だがその想いも、虚しく打ち砕かれる。
「無駄だヨ♪」
「!」
隊長の背後に、いつの間にか新たなDEMが二体立っていた。
「ボクがジャマーで通信妨害してるからネ。」
話しているのは紫色のDEM。
スウェットスーツ状のボディの周りをピンク色のビットが、高速で円軌道を描いている。
それが妨害電波を発し、隊長の持つ通信機の機能を阻害していた。
そしてその隣に立つ灰色のDEMは、両手に拳銃を下げた射撃型。
一番最初に隊員を射殺したDEMであった。
「くっ……!」
「無駄だ、ドミニオン――首都アクロポリス以北は全て我ら機械種族の支配地」
「!」
隊長を取り囲んだ5体の新型……とは違う声が、闇の中から聞こえてきた。
それと同時に、聞き慣れない音が近づいてくる事に隊長は戦慄した。
「……馬の蹄の音……!?」
「ハァッ!」
「!!」
はっと空を仰ぎ見た隊長。
急速に光を失いつつある空に、一体の巨躯の馬のシルエットが横切るのが見えた。
しかし、隊長の前に降り立ったその巨体は馬などでは無く
歴としたDEM――多脚型の大型DEMであった。
「ここに立ち入る者、何人であろうと殲滅するが我らが使命」
「6体目……!」
淡々と語るそのDEMの面貌は、真っ黒いマスクで覆われていた。
他の5体はまだ人間味のある姿形をしていたが、最後の一体はまさに異形。
馬に酷似した四脚と、身の丈ほどある右腕の大砲。
「消えよ」
大砲が持ち上げられ、隊長の眉間へと向けられる。
発射口に燐光が吸い込まれ、砲身に熱量をチャージする。
人一人を跡形も無く消し去るには十分なエネルギーを、隊長は肌で感じた。
「お……お前たちは一体……」



爆音と閃光が、その男の全てを断ち切った。



「任務完了。
 ジェノサイドナンバーズ全機帰投せよ。」
『了解。』
焼け焦げた山道を一瞥し、砲を放ったDEMが踵を返す。
残りの五体もそれに続く。
少し進んだところで、最後尾を歩いていたDEMが首を僅かに後ろに向けた。
ビットで通信妨害をしていた、紫色の髪の機体である。
黒ずんだ地面を見、刹那目を閉じ、口の中だけで何かを呟く。
そしてすぐ前を向き、他のDEMに歩調を合わせる。

「ごめんネ……」






ここはドミニオン世界。
百年か二百年か、或いはもっと昔から、この世界は他種族による侵攻を受け続けてきた。
デウス・エクス・マキナ……DEM、それが侵略者の名。
機械種族たる彼らは、自らの世界を破壊されて追われ
自らの種族の存続と繁栄、多種族の排除という二つの目的に従い
この世界に渡り、活動を続けていた。
機械ゆえに自然進化を行わないDEMは、繁栄の為に特殊な個体を製造し用いていた。
それが“母世代”と呼ばれるDEM達である。
母世代のDEMに与えらえられた使命は、優れた新型を生み出す事。
次世代を担うに相応しい力があると認められた時、そのDEMは量産型となりDEM達の主戦力となる。
現在のDEMの主力はDEM-01やDEM-シュメルツ等であるが
これらは、ある母世代により生み出されたDEMが元になっている。
また、DEM-LUX-Fer、DEM-LYL-Xth……後にルクス、リリと名付けられるDEM達も
DEM-マザーという母世代が生み出した、次世代機の試作機である。
また、母世代も1人では無く、複数体存在する。
DEM-マザー以外にも、AuNt、X-1と呼ばれる母世代が過去に居たという記録が残されている。
そして現在、デムロポリスの最北端の区画――第七工廠と呼ばれるエリアにも一体の母世代が居た。
彼女の名は“DEM-エキドナ”
魔物の母の名を与えられた彼女の子供達……
それがジェノサイドナンバーズと名付けられた、次世代機試験運用部隊であった。
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