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【ETERNAL SUN】

<2月15日 アップタウン>


一人の青年が駆けてゆく。
一年でも最も冷え込みの厳しい時期だと言うのに、一糸纏わぬ鍛えられた体。
……正確には、局部を笑い男がガードしているのだが。
青年の名前はレッド・ウォーロード。
全裸剣士として知られる、陽気なブレイドマスターである。
だがその彼が、かつて無いほど厳しい表情で走っていた。
紅眼は鋭く前を見据え、口元もきりりと結んでいる。
そこに、普段日頃の奔放な彼の姿は無かった。


「やはり、行くのですね……」
その少し後ろを、音も立てずにぴったりと付いてゆく者が居た。
物陰から物陰へと隠れながら、まるで影のように忍びゆくタイタニアの少女。
チェック柄の探偵コートに新聞紙でキメた『槍探』ことフォリアは、レッドを正確に尾行していた。
年に見合わぬ隠密の技は、彼女が裏の稼業に手を染めている事を示唆するに十分だった。
「メリーさんの友人として、確かめさせてもらいますよ……!」
フォリアがレッドを負うのには、深い理由があった。
彼女の大の親友であり、またレッドの妻でもあるメリーに関係のある、重大な問題。
それが、彼女の持つ新聞に記載されていたためだ。
「この記事の真偽を……!」
フォリアが強く握りしめ、しわが寄った新聞の記事には、こうあった――





全裸剣士 浮気疑惑 と……





<2月14日 アップタウン>

日も大分傾いた午後3時過ぎ。
レッド・ウォーロードは相も変わらず全裸でアップタウンに居た。
「うう、寒」
二の腕を反対の手で擦って、なんとか暖を得ようと無駄な努力をするレッド。
彼が寒さを感じているのは、全裸だからではない。
たった今、この冬空に湖にダイブしてきたからである。
無論自分の意思で飛び込んだ訳ではない。
褌職人ティタの作った竜角の褌を装着した姿を、メリーに目撃された結果
脳天からアイディーンの湖に叩き込まれ、犬神家スタイルを取らされたのである。
毎日のように行われるやり取りとは雖も、さしものレッドもこの仕打ちには多少堪えていた。
「全く、やり過ぎだぜ……」
「あ、あの……大丈夫ですか?」
背後から掛けられた柔らかい声に、レッドは一瞬固まった。
真冬に全裸で、しかもずぶ濡れでアップタウンを徘徊する男に、勇敢にも話しかける女性。
その存在自体に驚愕したからだ。
「あ、ああ……」
振り返り、レッドは再度固まった。
これが知り合いであれば、声をかけられた事にも納得出来ただろう。
だがその女性は、レッドの全く見知らぬ人であり、かつ……





彼が嘗てあった事があるか無いか……それ程の美しいタイタニアの少女であった。
栗色の長い髪は背の真ん中あたりで纏められ、大きな桃色のリボンがそれを彩っている。
華奢な体を巫女服にすっぽりと包んだその少女は、ぱっちりとした空色の瞳でじっとレッドの目を見つめ返していた


「…………!」
「あの…………寒い……ですか?」
「え?あ、ああ!」
妻帯者の癖に、思わず見とれていた自分を、レッドは内心で叱咤。
「だ、大丈夫だ、ありがとな!」
妙な気持になる前に、早々に立ち去ろうとするレッド。
全裸になることに抵抗が無さそうに見える彼でも、妙齢の女性に見られるのは多少なりとも恥ずかしいらしい。
だが女性は逃げる隙を与えず、一歩踏み出しレッドの目と鼻の先まで近付く。
そして両手をレッドの頭上あたりに差し出し、手にしていた白い何かをレッドに巻き付けた。
「あの、これ!」
それは、純白の毛糸で編まれたマフラー。
完全に不意を突かれたレッドは、マフラーを巻かれるがままになっていた。
「……!?」
マフラーをレッドに巻き終えると、更に少女は続ける。
「わ、私、シュリって言います!」
「は、はぁ……」
阿呆のように応えるレッド。
何故、この少女が自分の名前を知っているのかという疑問すら浮かばないほどに、元々鈍い思考回路が完全に停止し

ていた。
だが、少女が真面目な表情で――しかも真っ赤になりながら発した次の言葉で、その回路は焼き切れる事になる。
「ず、ずっと貴方が好きでした!
 それ、私が一生懸命編んだんです!
 受け取って下さい!」
「……………」
「あ、明日、正午ぴったりに、こ、ここに来ますから!
 答え聞かせて下さい!それじゃ!」
それだけを言うと、その少女――シュリは全力で文字通り飛んで行った。
後には、間抜け面を晒してカカシのように立ち尽くす、『ほぼ』全裸剣士が居るのみであった。


「……はっ」
気が付くと、レッドはまた一人で立っていた。
しかし、全裸ではない。
彼の首には、真っ白いマフラーが確かに巻かれていた。
「……あ、あの子は一体……
 それに、これ、どうすんだよ……」
茫然と、首元に手をやるレッド。
丁寧に編まれたマフラーは、少女が抱き締めてた名残か、ほんのりと温もりを保っていた。
素肌の上に感じるそれに、レッドは無性にむず痒さを覚えた。
「……暖かいな、これ……」
湖に落とされ冷えた体を、護ってくれるように温もりが包み込む。
疲弊していたレッドの心を溶かすように……
「ふふ……」
マフラー以外に何も纏っていないというのに、まるで春のような暖かさ。
それは心にも伝わり、スキップしたくなるような昂揚さえ覚えた。
だが直ぐに、それは冷たい恐怖へと姿を変える。
昂揚が意味するところ……つまり、シュリという少女へ芽生えた愛情。
それはメリーへの背任以外の何物でもない……。

いい加減そうに見えて、レッドという男は実は相当に誠実なドミニオンである。
純朴なだけとも言えるが、彼は曲った事が大嫌いなのである。
メリーへの愛を抱いたまま、他の女性を愛することなど出来ない。
しかし彼は一瞬、シュリに対して心を傾けてしまった。
それはメリーからの仕打ちの後に、シュリから手を差し伸べられた為に
彼の中に僅かな『気の迷い』が生じただけとも言える。
だがメリー一筋で生きてきたレッドにとって、それは非常に大きな衝撃であった。

「俺は…………いや」

「俺の本心は、一体…………」










<2月14日 メリー宅:厨房>

スカカカカカ

「ま―――――ったく、あの馬鹿は……」

カカカカンッ

「性懲りも無くしょーもない格好ばっかして……」

ジュワ―――

「恥ばっかりかかせるんじゃないっての!」

バンッ

「……冷蔵庫、乱暴に締めないで下さいメリーさん」
「わりぃ……」

メリーを窘めたのは、槍を包丁に持ち替えた(※戦闘の為ではない)フォリアである。
その横で、メリーは小さくなってボールを混ぜ始める。
「だってさぁ、角だよ角……あり得ないでしょ常考」
「あり得ないのはいつもじゃないですか」
「まあ、そうなんだけど」
手際良く調理を進めていく彼女達の口は、手と同様に休まることは無い。
普段から慣れているのか、見事な連携で御馳走を作り上げゆく。
「愚痴ばかり言ってるけど、それでも好きなんですよね?」
「ん…………そりゃあなぁ」
人前ではデレる事が少ないメリーも、親友の前では正直であった。
最も、4,5年間メリーとレッドに起こった事件の全てを見続けてきたフォリアには
確認するまでも無く、全て判り切っている事なのだが。
「ふふふ…………お二人を見ていると、私も嬉しくなってきます」
「そう?」
「ええ」
そう言ってフォリアは鍋の蓋を開けて、中身が焦げないようにおたまをくるくると回した。
メリーはその背中をチラっと見て、嬉しく思う反面、申し訳なくも思った。
ほぼ同い年である彼女も、もっと幸せになってもいい筈だ、と。
しかしフォリアに関して、恋愛話はご法度である。
居ない訳ではなく、死に別れた訳でもない……が、フォリアは話題に出したがらないからである。
だから恋愛話をフォリアから振られる度に、メリーは密かに居た堪れなさを感じていた。
「……どうしました?」
「ん、何でもない。
 ……そろそろ焼けたかな。チョコケーキ」
視線に気付いたフォリアの問いをはぐらかす。
フォリアは詮索せずに、黙ってオーブンの中を確認する。
「あ、いい感じですね。
 奇跡クラスじゃないですか、これは」
「おお」
メリーも近寄り、自分のチョコケーキの出来を見て満足げに頷いた。
「後は冷まして完成か……失敗しなくて、よかった」
勿論、レッドへのプレゼントである。
タイニーアイランドでは勢いで投げつけてしまったが、流石のメリーも反省していた。
それで謝罪の気持ちも込め、もう一つケーキを焼いたのだった。
「レッドさん、喜びますよ~。
 そうだ、手紙でも入れたらどうですか?」
「手紙?」
何処から用意したのか、フォリアはレターセットを差し出してきた。
この展開を読んでいたのかも知れない。
「はい、気持ちを伝える絶好のチャンスですから」
「もう伝え切っちゃってる気もするけど……」
渋々と言った表情で受け取るメリー。
だが暫く考えたのち……筆を走らせ始めた。
「ま、バレインタインデーくらいは、いいか」






<2月14日 ウテナ湖:墓地>


整然と並んだ、墓碑の列。
その中の一つ、極めて新しい者と思しき墓石の前で、一人の女性が手を合わせていた。
郊外の湖を望む場所に位置する霊園には、彼女以外に人気は無い。
「…………遅くなって、御免」
ダウンタウンの花屋で買った、白い花の慎ましい花束を墓石の前に置き
静かに目を閉じる、タイタニアの小柄な女性。
シュリだった。
墓石に刻まれた名の左右に、コウモリの翼のようなマークが彫られている。
それは、この墓の主がドミニオンであった事を示している。
故人とシュリにどのような関係があったのかは、その様子からは窺い知ることは出来ない。
ただ、彼女が熱心に黙祷を捧げていることから、墓の下に居るのが大切な人である事は容易に推測できた。
「もう一度、君と会って語り明かしたかった……」
祈りを終えると、優しい瞳を悲しげに揺らして、語りかけ始めた。
「君が何をしようとして、何をしてしまったか、全部聞いたよ」
さぞ無念で逝ったんでしょうね、と口の中で苦しげに呟く。
沈痛な面持ちのまま、シュリは墓石に刻まれた名前を見つめ続けていた。

やがて気が済んだのか、首を振って立ち上がる。
「また会いに来るよ。
 ……そのうち、私もそっちに行く事になるしね……」
「御友人の方ですか?」
「おや……」
背後からの誰何に、シュリが振り返る。
5メートル程離れたところに、タイタニアの青年が佇んでいた。
その手には墓石を洗う為であろう水が入った桶と、シュリの持ってきたのと似た小振りの花束がある。
ブラウンの髪の下から、柔和な笑みがシュリを見ていた。
水色の瞳は、色も形も、シュリとよく似ていた。
「軍属以外で、彼の墓参りに来る方が居るとは思いませんで――――」
だが、シュリの顔を直視した時……青年も驚きのあまり言葉を失った。
それはシュリも同じだったらしく、彼女もまた瞳を見開いて青年を見つめていた。
時を刻まない人々の上で、まるで石像のように動きを止めた二人。
その間を、凍える北風だけが静かに走り抜ける。
「…………ウ…………」
先に我に返ったのは、シュリの方であった。
身を投げ出すようにして、その青年――ウォルスに思い切り飛びかかった。
「ウォルちゃん……っ!」
「……………!」













<2月14日 メリー宅>

「ただいま……」
重い足取りで、敷居を跨ぐ。
戸を開けると、身に沁みいる温もりと料理の香りがレッドを迎え包み込んだ。
「おかえり。遅かったね」
「あ、ああ……」
キッチンに立ったままテレビを眺めていたメリーが、レッドに駆け寄った。
「どうしたの……?」
妙に歯切れの悪いレッドを不審に思い、不安そうに顔を覗き込む。
だがレッドは、それを真っ向から見つめ返す事は出来なかった。

あれから、ずっとレッドは考えていた。
自分は本当にメリーだけを愛しているのか。
逆にメリーは本当に自分を愛しているのか。
昔は確実にそうだったって言える。
だけど、今はどうなのか?
惰性(自分にしては難しい言葉を使ったとレッドは思っている)で夫婦をやっているだけじゃないのか。

シュリに一瞬だけ感じた胸の高鳴りが、レッドから自信を失わせ
叩かれた時の痛みと水に落ちた時の冷たさが、レッドの猜疑心を増長していた。

「……何でもねぇ」
「何でもないって……」
不審げな顔をするメリー。
だがレッドはぶっきらぼうな口調で続ける。
「御免、体調悪いんだ……先、寝るわ」
メリーを振り切りようにして、ずんずんと寝室に向かう。
その背中に、慌てて追い縋りメリーは肩に手をかけた
「え……ちょっと、大丈夫!?」
「…………」
レッドは歩みを止めて、首だけで振り返った。
その目は睨み付けるようだったが、同時に泣きそうでもあった。
ぐっと唇を噛みしめ、レッドは吐き捨てた。
「……水に叩き落としておいて、大丈夫もへったくれもあるかよ」
「!!!」
喉を絞められてるかのような小さな声だったが、メリーには確かに聞こえた。
何かを言いかけ、しかし何を言っていいのか迷い口を噤むメリー。
レッドの言葉の意味を理解し、体が震え始めていた。
「…………じゃ、おやすみ」
「…………ごめ……………」
震える唇からやっと出てきた言葉は、謝罪。
だがレッドの耳に届いたかどうかは怪しく、レッドはさっさと寝室に入り戸を閉めてしまった。

ガタッ

メリーが、その場で膝を付いた音。
嘗て、ここまで顔面蒼白になったメリーを見た事がある者はいないだろう。
「う、あ、あ、あ…………」
全身を瘧のように震えさせ、言葉にならない音を吐く。
目は真っ直ぐと寝室の戸を見ているように見えるが、実際は何も見えていない。
完全に自失状態であった
「ああ、さっぱりした……メリーさんお風呂上がりまっ!?」
その時、一足先に入浴を済ませたフォリアがリビングに現れ、メリーの異変に気付いた。
「どうしたんですか!しっかり!」
「レッド…………御免…………御免なさい…………!」
「レッドさんがどうしたんですか!?メリーさん、メリーさーん!」
震える体を抱きしめるようにして押さえるフォリア。
その腕の中で、メリーは一人っきりにされた子供のように、ただただ涙を流していた。




「何メリーに当たってんだよ……俺、カッコ悪過ぎだ……ぜ……」
実際体調には何の支障も来たしていないレッドは、ごろりとベッドに仰向けになって一人唸った。
文句を言った時のメリーの顔を見てから、彼の心は耐え難い痛みに苛まれていた。
「だけど……メリーだってやり過ぎだよな……?」
言い訳するように呟くが、それで痛みが癒される事は無い。
むしろ、痛みは増す一方だった。
「糞っ……なんでこんな事に……」
苦々しい想いで、シュリに貰ったマフラーを取り出す。
夜の闇の中で、それは柔らかく光っているようにも、見えた。
「……」

『ず、ずっと貴方が好きでした!』

「好き、か……困ったな……」
直球ストレートな告白。
手編みのマフラー。
これで自分が独り身だったならば、一発で落ちていたとレッドは思う。

しかし彼は歴とした妻帯者である。
メリーとは記憶を失う以前からの縁であり、死すら越えた(?)大恋愛の末に結ばれた。
だが、それは過去の話でもある。
現在の二人の日常に、これと言った刺激的な――ある意味、毎日が刺激的だが――出来事は無い。
「倦怠期、って奴なのかな……」
早過ぎる気もする。
だが、今の日常にときめく物があるだろうか――



…………



零時を回るかどうかという時刻。
リヴィングではフォリアが机に突っ伏していた。
「…………」
一通り取り乱したメリーは、『暫く留守にする』とだけ告げて出て行った。
持ち出したメイスと旅行鞄から察するに、マルクトあたりだろうと予測はつく。
だがフォリアには、その背中を追うようなことは出来なかった。
まるで世界にたった一人遺されたかのような、寂しそうな背。
何もかもを拒絶し寄せ付けない、完全に『独り』になったメリーがそこにいたからである。
「…………メリーさん…………どうして…………」
何がメリーをあそこまで追いつめたのか。
レッドに原因があるのは明らかだが、彼がメリーを傷つけるような事を言うとはフォリアには到底思えなかった。
だけど、そうでなければ説明が付かない。
フォリアは、レッドを叩き起こして事情を洗い浚い吐かせてやろうと何度も思った。
だがその度に槍を握る右手を制し、怒る心を必死に宥めた。
これは二人の問題……今はまだ部外者が関わってはいけない。
フォリアはそう考えた。
明日になってくればメリーは何事も無かったかのように鉱物背負って帰って来るかも知れないし
バツの悪そうな顔でレッドがメリーに謝るかも知れない。
そしてまた同じような平和な日常が戻って来るかも知れない。
二人と付き合いの長いフォリアはそうも考えた。
否、そうなるように、信じた。


…………


はっ、とレッドは起き上った。
難しい事を考えている間に、いつの間にか眠っていたらしい。
「今何時だ……っと」
慌てて口を押さえたレッドだったが、その必要は無かった。
ダブルベッドの隣は、冷たいままだったからだ。
「……何処かに行ったのか……?」
誰かが入ってきた形跡の無いシーツをそっと撫でて、レッドは胸を締め付けられるような苦しみを覚えた。
顔を上げると、壁時計は深夜2時を指していた。
「メリー……」
愛想を尽かされたかな、とレッドは自虐的に思った。
今まで好かれていたのが不思議だったとすら思えてくる。
何も人に誇れるところなんて無く、逆に恥を晒してばかりのお馬鹿剣士。
「仕方ないか……仕方ない……」
そんな奴が、メリー程のいい女の旦那をやってられた事自体が奇跡に違いない。
「これが当然の結果だったんだ……」
メリーを諦めるために、自分に念じるように何度も唱える。
「…………」
目を強く閉じて、無心になろうと試みる。

――忘れろ、忘れてしまえレッド・ウォーロード。





寒かった。
キングサイズのベッドに独り。
いつから二人で寝るようになったのか。

記憶を遡る事4年。
全ての記憶をロッソに奪われた俺は
目が覚めた時、自分が誰かすら判らなかった。
過去が判らない、という事がどれだけ不安なのかは、普通の人には判らないだろう。
俺も最初は怖かった。
表に出さないように頑張ってたけど、途轍もなく怖かったんだ。
それを知ってか知らずか、メリーは四六時中俺の傍から離れなかった。
俺が嘗てのレッドとは違うレッドだと判ってるのに、それでもいつも一緒だった。
初めは母親のように、俺を抱き締めて慰めてくれた。
いつしか、一対の男女としての関係になっていた。

俺の記憶の中は、メリーでいっぱいだった。
メリーがいなくなる事は、俺が俺でなくなるのと同じ。
だからメリーが居ない今は、こんなにも寒いんだろう。

君は僕の太陽だ。

……ってのは、臭いセリフだと思ってたけど――

――まさに、言い得て妙だ。





太陽の有難味は、雨の日こそ判るもの。





「……馬鹿だったなぁ、俺……
 失ってから気付くなんて、愚かにも程があるぜ……!」
ベッドに腰掛けて、マフラーを手に取った。
ちょっと躊躇いながらも、首に巻き付けた。
暖かかった。
多少の寒さなら、十分に凌げるだろう。
だけど……
「それでも、まだ寒いんだ……俺は全裸だからな」

メリーを見つけないと。
もう許して貰えないかも知れないけど、全力で謝る。

そしてシュリちゃんにも謝る。
俺にはもう、掛け替えのない人がいるから。



そっと寝室の戸を開く。
リヴィングは煌々と電燈に照らされており、その下で一人の少女が突っ伏して寝ていた。
「フォリア……風邪引くぜ」
ソファから取ってきた毛布をそっと肩にかけてやり、うさ耳に呟いておいた。
どうしてここで寝ているのか判らないが、きっと心配をかけた筈だ。
心の中で頭を下げて、表に出ようとした。
だが、ふとそこで思い出す。
「……腹減ってんな、俺」
不貞寝したため、夕飯は何も口にしていなかった。
Uターンして、卵型冷蔵庫を物色する。
いくつもの皿に立派な料理が、手付かずのままラップをかけられている。
それを見て、また一段と心が痛んだ。
「明日の夜は、二人で戻って来るからな……」
御馳走に頭を下げて、とりあえず一番手前のチキンを食べようとして――
「……これ、チョコケーキか……?」
冷蔵庫の近くに、紙製の箱が置かれているのが目にとまった。
不審に思い箱の傍に寄ってみると、上に直方体の封筒が置かれているのに漸く気が付いた。
メリーの字で、『レッドへ』と書かれた封筒。
震える手でシールを剥がし、中の手紙を引っ張り、目を通す。


「…………」


3度、全文を通読し、閉じる。


「……うっ……」


最後には、手紙にいくつも水滴が落ちていた。


「ああ…………俺もだぜ、メリー」


手紙を握り締めて、俺は家を飛び出た。

極寒の夜の何処かに居る、太陽を求めて。




<2月15日 マルクトの船着き場>



溶岩の滝が放つ強い光が、坑道の高い天井を照らす。
「はぁー……」
粉骨砕身が完全にオシャカになるまで、岩を叩きに叩いた。
リュックには鉱物が山のように積み込まれている。
だが、まだ叩き足りない。
叩いていないと、何か考えてしまうから。
「……レッド……」
まだ怒ってるのだろう。
今までの仕打ちを、許してくれるなんて思えない。
殴り蹴り潰し燃やし……
全てネタフィールド下で行われた行為のため、絶対に死んだり傷が残ったりする事は無い。
だが痛みはある。
恋人だった私に、虐げられ続けたレッドの心境はどんなものだったのだろう。
想像するだけで、怖い……。
いっそ怒り狂うレッドに叩き斬られてしまった方が、楽なんじゃないか。
「いけない、考えちゃ……」
滲んだ涙を小手で拭い、近場の岩を素手で殴る。
慣れてるが、やっぱり痛い。
しかしレッドの受けた痛みに比べたら……
「考えるな!考えるな私!」
殴れ、殴れ、殴れ。
鉱床石だろうとタタラベ石だろうと、構わず拳で叩け。
痛かろう辛かろう、嫌な事を考えるよりは、マシだ――

ガシッ

「……お主、そんな無茶してると体壊すにゃ」
「!」
ピンク色のぬいぐるみのような手が、私の右手を押さえていた。
半目で私を見ているのは、クホ界のファラオこと邪神クホホテップだった。
「なんだ、居たのかクホホテップ」
「居たのか、じゃ無いにゃ。
 汝はわらわのしもべ、パワーのクホリストにゃのなからもっと敬意を――」
「うるさいな、猫の癖に」
こんなチンチクリンに説教などまっぴら御免だ。
シッシッと手を振ると、邪神は呆れたように話し始めた。
「わらわの話を聞くにゃ。とりあえず座るにゃ」
「お、おい」
ネコマタとは思えない力で抑えつけられ、坑道に座らされる羽目になった。
今更ながらに、ネコマタとは別次元の存在なのだと気付かされた。
「……そんにゃに、恋人に嫌われたのが辛かったのにゃ?」
「……当たり前だろう。
 だけど、私が悪いのは明らかだし……仕方無いと思う」
仕方なく、邪神の話とやらに付き合う事にした。
「本気でそう思うかにゃ」
私の膝の上あたりで、こっちの目を見つめつつ問うて来た。
ああ、ウザい…。
「ああ……異論があるのか」
「汝らは、つい一昨日までは上手くやって筈にゃ」
「……ああ」
「だけど昨日は、男が不機嫌だったと……」
「……今まで貯まってた鬱憤が爆発したんだと思う。
 事あるたびに、ブッ飛ばしてたから」
思いだすのも嫌になるくらい、私は酷い事をして来た。
それは、邪神も良く知っている筈である。
「にゃるほど?」
首をちょこんと傾けて、更に問いは続く。
「にゃから、もう許して貰えにゃいと?」
「だって、今まで私は酷い事を……にっ!?」
いきなり、両頬を邪神に引っ張られた。
邪神には珍しい怒り顔が、大アップになって私に迫る。
「このうつけ者が!
 なぜに冷静にならなんだか!
 うつけうつけうつけうつけ大うつけがっ!」
「!?」
こちらの頬を伸ばしたり捏ねたり弄びながら、更に邪神の怒り声は続いた。
「『気の迷い』という言葉を知らにゃいのか、汝は。
 『虫の居所が悪い』という言葉を知らにゃいのか、汝は。
 汝らが後100年生きると仮定するにゃら、たった一日の喧嘩なんて
 小指のかけらほどの些細な問題なのにゃ!
 悠久の時を生きるわらわから見たら
 ミジンコの背中のダニよりもちっちゃな問題にゃー!」
「だ、大小の問題じゃ――」
漸く解放され頬を撫でながら反論を試みる。
「にゃら、汝の『憶測』が正しいなんて確証があるのかにゃ?」
「……だってさ……」
ビシッとまん丸な指を付きつけられ、私は答えに窮する。
今や邪神が、会話のイニシアチブを取っていた。
「ネガ思考にゃんて、汝らしくないのにゃ。
 男を助け出した時の汝はどこにいったにゃ?」
「クホホテップ……」
不覚にも驚いた。
神という階位に属する存在にも関わらず
クホホテップは私を『一クホリスト』ではなく『一個人』として見たからだ。
先ほどとは打って変わって、慈愛と憂いを湛えた瞳で私を見下ろすその姿に
未だ無いほどの親しみを感じた。
「汝の愛が真の愛であることを、わらわは知ってるにゃ。
 にゃから、汝に力を与え、汝の命に従ったのにゃ。
 そして……男も汝の愛の深さを、知っている筈なのにゃ」
「……」
「汝らが重ねてきた時間は、嘘偽りのものだったのかにゃ?」
「だけど、レッドが私を愛する理由が、私には判らなくなった!」
私がレッドの傍に居られなくなった原因はこれなのだ。
むしろ、嫌われる心当たりばかりが浮かんでくる。
「そんなものは無いのかも知れない!
 レッドは記憶が無くて、たまたま私が側にいたから
 私に惚れただけなのかも知れない……!」
「ふ……」
邪神は、我が意を得たりとばかりに鼻で笑った。
「汝は『かも知れない』と言ったにゃ。
 二度も言ったにゃ。
 判らないなら……直接問うしか無いにゃ?
 それがいいにゃ♪それがいいにゃー♪それで全部解決にゃー♪」
「それが怖いから……」
私の手を引っ張り、外に連れ出そうとする邪神に抵抗する。
もし、レッドが私を本気で嫌ってたら……生きて行ける自信が無い。
だけど邪神は、私の手を両手で包み込んで、こう諭した。
「メリー、クホの四元素が司る『心の力』を知っておるかにゃ?」
「何それ、初耳」
「うつけが。
 いいかにゃ……クホの四元素とは――」
邪神が両手を広げると――そこに4種類の結晶が生み出された。
「『魔力』は『誠実』
 『命』は『慈愛』
 『クリティカル』は『希望』……」
邪神が一つ一つ元素名を告げる度に、結晶は輝き霧散してゆく。
そして、最後に赤い結晶だけが私の前に残った。
「『力』は……?」
「『力』は『勇気』にゃ……!」
赤い結晶が、真っ赤に光って砕けた。
その光の粒子が、私の胸に入り込んで消えてゆく――
「勇気……」
「そうにゃ、勇気こそ、『パワー』の司る『心の力』にゃ」
ぽん、と邪神の大きな肉球が私の肩を叩いた。
その温もりは、まさに私を見守る守護神たる包容力に満ち溢れていた。
「クホリスト足るもの、砕け散る事をおそるるべからず!にゃ!」





溶岩の熱に照らされ、マルクトを駆けてゆくメリーの背中を
遠くに認めつつ、邪神は独りほくそ笑んだ。
「……我ながら、上手い作り話だった……にゃ。
 これ、クホの公式設定にするかにゃ」
そう独りでブツブツと言いながら、えこふぇすで買ったメモ帳にメモをし始める邪神クホホテップ。
この姿を見て、誰が神だと思うだろうか……いや、思うまい。
そんな事も考えず、邪神は独りでニヤニヤとメモ帳を埋め尽くしてゆくのであった。
「にゃふふ♪」



<2月15日 メリー宅>


カラン



「ん…………」
金属に何かが当たる音――新聞がポストに投げ込まれる音で、フォリアは目を覚ました。
はっと顔を上げると、時計は朝6時を指している。
「メリーさん!?」
眠気を一瞬ですっ飛ばし、家じゅうの部屋を探しまわるフォリア。
しかし何処にもメリーの姿は見られなかった。
それどころか、レッドも寝室に居なかった。
「……ああ、もう、どうなってるんでしょう」
うさ耳を直しつつ、フォリアは新聞を取りに玄関に向かう。
「何か情報が欲しいですねぇ……こんな時に限ってサージャさんはいないし……」
サージャは2週間ほど家を開けていた。
旧友と仕事があると言ってタイタニア界に旅立ったまま、音沙汰が無い。
荒事ではないらしいから心配はしていないが、連絡くらい寄こせとフォリアは不満に思う。
「仕方ない、今日の天気でも読みましょー―」
天気図を探し始めたフォリアは、その姿勢で硬直していた。
彼女が凝視するページにでかでかと写真が掲載されている。
その写真には男女が映っており、一人はフォリアの知る男だった。
だが、女の方は知らない。
そしてその記事は、二人の密会の模様を伝えるものであった――
「れ、レッド…………さん………!?」






<2月15日 アップタウン>


11時59分――
謎の少女シュリは、約束の場所に到着していた。
「……あ、レッドさん……」
遠くからレッドが走って来るのを見て、シュリは手を挙げて笑顔を振りまいた。
だがレッドの目は虚ろで、それが映って無いように見えた。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ………」
シュリの近くまで来ると、レッドは膝をついて荒い呼吸を繰り返す。
彼は昨晩家を飛び出てから、殆ど休まず走り続けていた。
「れ、レッドさん、大丈夫ですか!?」
「ん、ああ……待たせたかな、シュリちゃん……」
しかし、どうしてもメリーを見つけられなかったので
まず断りを入れておこうとここに来たのだった。
「い、いえ、大丈夫ですけど……」
「はは、そりゃよかった……。よっ、と」
シュリの差し出した手を借りず、すっと立ち上がったレッド。
真冬なのに汗まみれで、髪もクシャクシャだ。
レッドはシュリの方を向き直ると、何処から取り出したのか、紙袋を差し出した。
「これ」
「え?」
シュリが不審げに受け取ると、中から出てきたのは
「……これ、私が贈った……」
唖然として、帰って来たマフラーを手に取るシュリ。
レッドの答えは、明白だった。
「結論から言うと……御免!」
シュリがマフラーから視線を戻すと、レッドは既に土下座体勢に入っていた。
「シュリちゃんの気持ちには、応えられない!」
「ど、どうして……!」
「御免、本当に御免!」
シュリが悲痛な声で攻める。
レッドの心は軋むが、それでも謝るしか出来なかった。
「こんなに、私はレッドさんの事想ってるのに……!」
「……すまない……」
「わ、私は…私は……!」
「メリーさんよりも、貴方を愛してる自信があります!」




メリーは物陰から、二人の会話を聞いていた。
ギリ、と奥歯が鳴る。
レッドを血迷わせた張本人に対する怒りが爆発しかける。
しかし、今出ていく訳にはいかない。
後で文句でも言ってやろうと思い、目を凝らして、シュリの顔を覚えようとした。
そして――――メリーは目の前が真っ暗になりかけた。
――そうか、シュリって……そういう事か――!
――なんて事だ。まさか、まさかあの人が――





フォリアも同様に、別の物陰から耳を澄ませていた。
いいぞいいぞレッドさん、とフォリアはぐっと手を握る。
そしてシュリの身勝手さに、腹立たしささえ覚えてきた。
シュリがなまじ美少女であるが故に、その怒りは不純にも熱く燃えていた。




何故かウォルスもまた、物陰から二人の会話に耳を傾けていた。
とりあえず、最初の難関は乗り越えた。
答え一つ間違えれば――大事な義弟を失う事になる。
彼の内心は穏やかでなかった。
彼だけが、この事態の真実を知っていたから――




レッドはゆっくりと立ち上がった。
その目は穏やかだが、強い光に満ちていた。
「メリーを舐めるな……!」
「!」
先程までの謝罪の姿勢とは打って変わって、レッドの体からは『険』のムードが発せられていた。
彼にとって、自分への侮辱よりもメリーへの侮辱の方が耐え難かった。
「メリーはな、俺が記憶を失っても、ずっとずっと傍に居てくれた――
 シュリちゃんに出来るか?恋人が自分の事を忘れてしまっても、1から恋愛をやり直すなんて」
「……」
「それにな……仮にシュリちゃんがメリーよりも俺を愛してるとしても――」
ここぞとばかりに、レッドは力を込めて、魂の言葉を紡いだ。
「俺は、メリーって言う太陽無しじゃ生きられないんだよ!」




メリーは嗚咽を堪えていた。
こんなに嬉しいと思った事は無い。
今すぐにも出て行って、レッドを抱き締めたいぐらいだった。
だが――別の懸念があった。

メリーは、シュリというタイタニアを知っていた――知り尽くしているという程に。
それでもなお、シュリの真意を、メリーは測りかねていた。
彼女は何が最終目的なのか。

少なくとも――レッドが目的ではない。
彼女の目的は――私だ。




フォリアは顔を赤らめていた。
一方で、シュリざまぁwww、と酷い事を考えていた。




ウォルスは目を閉じて、感じ入っていた
あんなに誇らしい義弟が、他にいるだろうか、と。
もう大丈夫だ……そう判断したウォルスは、家に置いてきた御影が心配だから帰ってしまった。





「……」
シュリは、暫くレッドの顔を見つめていた。
レッドも、睨むようにであるが、その目を見返していた。
「……」
「…………ふっ」
不意に、シュリが笑みを零した。
だがそれは、先程までの少女のような笑みではなく
まるで大人が行う苦笑のようであった。
「驚きましたよ……合格です、レッドさん」
「シュリ、ちゃん……?」
「レッドさんのメリーへの気持ち……よく判りました」
目を見開くレッドの眼前でシュリの表情が変わる。
真面目な、精悍と呼ぶにふさわしい顔に。
「レッドさん……いや、レッド・ウォーロード君」






















「私の娘、メリーを末永く宜しくお願いします。」




















「「な、なんだってー!?」」
フォリアとレッドの声が、見事にハモった。
「シュリさん御いくつですか!?」
「ふふふ、秘密です♪」
「って、おいフォリア、覗いてたのかよ!?」
「れ、レッドさんが浮気してるって新聞に載ってたから――」
「新聞!?どういうことだ!」
「あらあら、この事も新聞に載るかしら。
 御化粧直してこないと。」
「すみません、若づくりの秘訣は――」
「聞けコラ!」

「れ、レッド……」
「!」
3人が一頻り騒いだ後、ふらふらとメリーが歩み寄ってきた。
驚きの連続――嬉し過ぎる事の連続で、メリーは半分自失状態だった。
「メリー……聞いてたのか……?」
「いい旦那さんを持ったわね、メリー」
シュリがメリーの頭を撫でた。
メリーの方が頭一個分大きかったが、それでも、シュリの動作は親そのものだった。
「すっかり大きくなって……でも、姿形が変わっても、メリーは私の大事な娘だから……」
「う、うわあぁぁぁ!」
メリーがシュリを抱き締める。
「ふふふ、いつまで経っても、甘えんぼさんね。
 ……そろそろ旦那様が嫉妬するから、ね?」
するりとメリーの腕から抜け出ると、メリーをレッドの方に向かって軽く突いた。
「あ」
シュリが優しく見守る中、メリーはレッドの胸に飛びこんだ。
「メリー……俺、その……」
「レッド……有難う……」
「……ああ。もう離さないから……」

愛し合う者の腕の中で、メリーは泣き続けた。
歓喜の涙を。
いつまでも。
いつまでも。
















めでたし。
めでたし。




※この時点で、3/31 23:12 ひゃー、時間が!





















メリー:あー、恥ずかしかった……。

レッド:まさか、お母様だったとはなぁ……。

いやぁ、御若い母上で羨ましいな義兄さん、このこの!

ウォルス:あはは……。

シュリ:ふふふ。

メリー:…………くっ。

レッド:ど、どうしたメリー?腹でも痛いのか……?

メリー:いいい、いや、何でもない……。

シュリ:あ、そうだメリー。私今日泊って行ってもいいかしら?

メリー:え?あ、うん、いいよ。

シュリ:有難う。ねぇレッド君?

レッド:な、何ですか……か、義母様……。

シュリ:ふふ、シュリさん、で良いよ。

一緒にお風呂入らない?

メリー:!

ウォルス:!

レッド:!!!!!

え、ええええええええ!で、でも!?なぁメリー!?

メリー:こっち見んな。

……裸の付き合いもいいと思うよ、義理の親子なんだし。

ウォルス:そ、そうそう……行ってきなよ。

レッド:で、ではシュリさん、参りましょうか。

シュリ:洗いっこしましょうね、レッド君。

レッド;はい!



…………



メリー:……馬鹿だなぁ、あいつ。

ウォルス:でも、僕達も相当の悪だよね……

メリー:でも嘘は吐いてない――筈だ。

間違えを修正してないだけで。

ウォルス:うん――そろそろ気付くんじゃない?








シュリ:どうかした、レッド君?

レッド:―――――――お





















男ぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!?






メリー&ウォルス:

お母さんじゃなくてお父さんだって事に……。
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無題
新聞の出来が素晴らしいw
画像保存で拡大しながらも読んでしまった…!
細かいとこまでびっしり書いてて流石です!
記者もだます程の美しいお父さんww

そして物語がまた良い…
ホント良い文章書きますな
感動したよ…!
ラクトキャスター| | 2010/04/01(Thu)01:15:16| 編集
無題
うわぁ~エイプリルフールにSS!
今年のECOSSさんは、関係ないのかな?と思ったら、この仕打ち!?

何はともあれ、お疲れ様でした!!
Plate♪| | 2010/04/01(Thu)02:35:14| 編集
無題
新聞の出来が細かいw
色々本来の新聞ではありえないような表記もありますが、まぁ目を瞑りましょう。
でも、1段目中ほどのメリーさんの名前の部分、「氏」が被ってますw

そして検定の魔王級、受験料のバームクーヘン5個にふきましたw
緋燐凰月| | 2010/04/01(Thu)23:17:34| 編集
無題
エイプリルフールSSお疲れ様です!
二人のすれ違いにハラハラしながら読んでましたが、
最後まで新聞のできの良さが頭を離れませんでした(

というか新聞の右下広告!見逃せない一文がggg
Skull| | 2010/04/02(Fri)02:18:58| 編集
無題
>>ラクトキャスターさん

有難う御座いますー。
新聞書いてる時が一番楽しかったです。
はっ、記者が誰だか考えてなかった!
……なんてね(どっちだ

SSは新聞をネタにするための「やっつけ」なので
お褒めの言葉を頂けるとは、恐縮です。
…その割に、途中感情移入が過ぎて浸ってたのは秘密です(


>>Plate♪さん

ECOSSなのにSSが!
……と、自分でもビックリでした!(管理人の資格ナシ!

おつありでしたー!


>>緋燐凰月様

ネタ新聞だから、ありえない表記が当たり前です。
なので、そこら辺は御理解いただけると助かります。
誤字指摘は感謝しますが。


>>Skullさん

おつありでしたー!
もっと激しい喧嘩も書いてみたいです。
が、結局ハッピーエンドにしか出来ない自分が恨めしい(

み、右下ですか……は、ははは……なな何を…

…申し訳ありませんでしたorz
メリー| | 2010/04/03(Sat)01:20:59| 編集
無題
新聞の広告部分については直接突っ込ませて頂いたので、ここではスルーするとして(

やっつけと言いつつ、流石のSSマスター(※今つけた)ですね。最後まで一気に読み進めてしまいましたよ。
オチについては何となく判ってしまいましたが、これはどちらかと言うと、
似たようなことをやろうとして男キャラの目を厳選していた記憶が
私にあるのが原因かもしれません。

個人的に、しおらしいメリーさんが非常にツボでした。
おかげでSS熱が再燃しました、どうしてくれる(
Reverier| | 2010/04/04(Sun)17:16:41| 編集
無題
>>Reverierさん

魔王様、最近駄洒落がお好きそうに見えたので、ついやらせて頂きました(
駄洒落って言うと見も蓋も無いですが、言葉遊びは楽しいですよね。

SS(シリアス&スイーツ)マスターの魔王様に
SS(寒いシャレ)マスター認定されるとは光栄の至り。

オチがバレるのは、流石に覚悟の上でした。
ゲーム内だとどう見ても♂だし(
しかし16以降の目で誤魔化したり、後ろを向かせるのも憚られたので、あの角度からになりました。
やっぱりメインは新聞でs

私も久々の執筆で、SS熱がカッカと。
魔王様のストーリー構成力を見習いつつ、精進してゆくつもりです。
メリー| | 2010/04/06(Tue)23:41:17| 編集
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