あれから間もなく――
私達は教会で愛を誓いあった。
タイタニアと、ドミニオン。
その道が茨の道である事は、二人とも承知していた。
それでも、一緒にいたかった。
二人でなら乗り越えて行けると、本気で信じていた。
…………
レッド:いるな……街の入り口に一人、ナイトか……。
メリー:裏も張られてるよ。どうする?
レッド:憑依しろ。突破するぞ。
私達に、両界からの追手が差し向けられるのに時間はかからなかった。
兵士:! 正面から来るぞ。
レッド:退け!邪魔する奴は……斬る!
兵士:ぐぁぁぁっ!
レッドは常に、私の代わりに血を浴び続けた。
そんな私に出来る事は、グリランドリーを常に最高の状態に保つ事だった。
心血を注ぎ、刃を研ぐ。時には打ち直す。
それが、罪を共有する、唯一の方法だったから。
レッド:あと、何人斬ればいいのかな、俺達……。
メリー:…………。
ある時、レッドが零した呟きに、返す言葉が無かった。
レッドは疲れていた。
他人を殺められる人じゃないのだ、彼は。
それでも、倒れずに、進み続けるのは。
メリー:ごめん……。
レッド:俺こそ、悪かった……辛いのはお互いさまだったな……。
……
こっち来いよ、メリー……全部忘れよう。
メリー:うん。
全てを忘れ、レッドを貪り、レッドに貪られる。
その瞬間だけは間違いなく、私の心は絶頂にあった。
その時の為だけに、私達は日々を生き抜いていた。
メリー:レッド……。
レッド:何だ、メリー。
メリー:絶対に、離さないで。
レッド:ああ、判った。約束する……。
この剣に誓って、な。
……
レッド:こんなところまで追ってくるとは……しつこい連中だ。
兵士:禁忌を犯した者を生かしておくわけにはいかん。
貴様の処刑は、ドミニオン全体の意思だと思え!
でりゃぁぁぁ!
レッド:――黙れ。
レッド:雑魚が。
兵士:な……太刀筋が見え…………
レッド:もうやめろ。
お前たちじゃ、俺達は止められない……これ以上無駄な死は――
兵士:あ、ああ……そうだ……俺じゃ、無理みたい……だな……
だが、今日の俺には――神が付いて……る……
レッド:何……?
目覚めよ……この地に封じられし…………名も無き邪神……よ…………
我が血を贄として…………
ゴゴゴゴゴ
レッド:何だ!
メリー:な、何、この声!?
邪神:Uuuuuuuuuuun...Fuuuuuuun...
Aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!
???:……この波動は……遅かったか!
???:誰かが、故意に封印を……?
???:だろうな……早くしないと、街どころか島が地図から消える……。
急ぐぞ、フォリア……邪神狩りの時間だ。
了解です、サージャさん。
邪神:Ughuoooooooooooo!
レッド:が…………!
メリー:…………。
レッド:め、メリー……落ちたのか!
生きてるか!?
メリー:う…………。
邪神:UuuuuuuuuuuuuuOuuuuuuuuuuuuuu
レッド:く、糞ったれが……!
(も、もう体が動かねぇ……!
だけど、コイツを斬んなきゃメリーが……)
こ、こなくそ……っ!
(駄目だ、剣握るだけで、いっぱいいっぱいだ……
頼む………動いてくれ……!
グリランドリー……!)
誰……レッド……?
私は…………
ああ、思い出した……
私は…………グリランドリー……
レッド:……!
レッド:え?
レッド:どこだ、ここ?
――私の中だよ、レッド
レッド:! メリー!?
――ううん、メリーだけどメリーじゃない。
レッド:どういう事だ……?
レッドが私を求めてくれたから、レッドの心と私が繋がったの。
――私が来たから、もう大丈夫だよ。
レッド:大丈夫って……
全部、私に任せて。
レッド:……(なんだ、急に意識が……)
――レッドはもう十分戦ったよね。
――だから、もう休んでいいよ。ずっと。私の中で。
レッド:……(メリーの中で……休…………)
レッド:…………。
グリランドリー:……逆憑依、完了――
これで、貴方の全ては私のモノ――
もう何も、苦しまないで――ここで、永遠を楽しみましょう――
邪神:!
邪神:Ohooooooooooooooooooo!
レッド:……貴方の力も、有用そうだから頂いておくわ。
レッド:はっ!
邪神:!
邪神:HiiiiiiiiAAAAAAAAAAAiiiiiiiiiiii!
レッド:ふふふ……
無敵よ、私は……私達は…………!
メリー:う………ん……
レッド、無事……?
レッド:貴方は……邪魔ね。
メリー:えっ?
レッド:レッドを苦しめてばかり。
貴方がいなければ、レッドはこんなに苦しまなかった……可哀想に。
メリー:レッド……ど、どうしたの……?
レッド:まあ、私を生み出してくれた事には感謝するけど。
でも、もう用済み。
レッド:さよなら。
メリー:!!
メリー:(まさか、貴方は……いや、貴女は…………!)
レッド:はっ!
ザシュザシュザシュザシュザシュッ
メリー:(そんな……レッド………!)
レッド:ふふ……ははは……!
あはははははははははははははは!
トスッ...
メリー:(…………レ…………)
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